2009年2月14日土曜日

筑波学生文芸賞の春

はじめまして、筑波学生文芸賞運営委員会のMDです。じつは私、小説『埋葬』で第一回の筑波学生文芸賞をいただいた張本人です。小説を書く立場から、賞の運営のために何かお役に立てることはないかと思い、第二回から運営委員会に参加させていただいています(でもサボってばっかりでごめんなさい)。今回は4月から始まる作品募集の宣伝をかねて、私が昨年賞をいただいて変わったこと、良かったと思うことについて書かせていただきます。
私は小学生のころから今に至るまでずっと小説らしきものを書いてはきましたが、小説を書くという行為は、心の内側を掘り下げ、それをさらけ出すというような性格を持つゆえ、ほんとに恥ずかしい!! 「小説家になる」という熱意は持っているつもりなのに、自分が小説を書いていることを知っている人が身の回りにぜんぜんいない。そんな境遇の人って案外多いのではないかと思います。私の場合、端的にはこの不幸な状況を解決してくれたのが「筑波学生文芸賞」でした。応募資格をつくば市在住・在学の学生というふうに大変せまいので、それだけに濃密な宣伝効果があったらしく、受賞作品は多くの友人たちが読んでくれ、私が小説を書いているということは、今やひどく有名な話になってしまった。私の経験でも、創作の環境は著しく変わったわけです。
もっと言うならば、「ちょっとした小説家気分」を味わうこともできるのです。受賞作は冊子に掲載の上で無料配布されます。ふつう、自分の作品を人に読んでもらうためには競争率 数百~数千倍の新人賞をとってプロの小説家になってしまうか、そうでなければ、自費出版や同人誌といったアンデパンダン的な形式に頼るしかない。しかし筑波学生文芸賞であれば、受賞のあかつきには、つくばというせまい範囲とはいえ、ある一定の権威つきでみんなに作品を読んでもらえるわけです。「ちょっとした小説家気分」とはまさしくこのことなのであって、掲載冊子が配布されたばかりのころは、「『埋葬』の人ですよね」と知らない方に声をかけていただいたり(!)、大学内のカフェに行ったら、隣に座っている人が『埋葬』を読んでいた(!!)とか、そんな体験ができます。
そんなわけで、ひとしきり自慢話を書いてしまいましたが、ともかく筑波学生文芸賞の募集が、この春4月から始まります。80枚以下の作品を対象とする「一般部門」のほか、今回からより手ごろな「ベリーショート賞」を設けました。私個人としてはいずれの部門でも、今まで人に言えずこそこそ小説を書いてきた文学青年/文学少女たちや、つくばから日本文学を征服しようという野心家たちに参加してほしい。みなさんの小説を楽しみにしています。

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